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住宅バブルがはじけようが、これらの町の住宅価格はまったり下がらない。
 その周辺の美しい住宅地ロスアルトス、ロスガトス、メンロパークなども地価が高い。
小規模だがちょっとかわいらしいダウンタウンがあり、しゃれた店も多く、歩道に椅子を出したカフェでお茶でも飲もうかという気分にさせる、このあたりではめずらしい場所である。
 そしてアサートン。
メンロパークの北のこの町はアメリカ有数の豪邸街で、広大な敷地にディズニーランドのお城のような家が立ち並んでいるところである。
成功したIT企業の社長やベンチャーキャピタリストらが多く住んでいる。
ここは、もともとサンフランシスコに住む富豪の避暑地だったところで、今でも頑固に「田舎風」 の町づ--を守ってい第3章 描かれざる格差る。
「田舎風」とは、つまり歩道もなく、街灯もなく、ダウンタウンもないこと。
夜に運転でもしようものなら、道も標識も見えず危なくて仕方ない。
「田舎風」はよそ者を入りにくくする「排他風」と同じなのである。
このあたりでは六〇〇万、七〇〇万ドルの家が当たり前に売れている。
 だが、シリコンバレーの隠された秘密がひとつある。
イーストパロアルトだ。
高級なパロアルトにぴたりと隣接していながら、アメリカ有数の犯罪多発地帯のこわい町だ。
パロアルトの地価が下がるという理由で、ここを別の市として切-離した歴史もあるらしい。
シリコンバレーのバブル、その後の住宅バブル時代を通して、イーストパロアルトのスラムも一掃されて、高級住宅街になるのではないかと予測した人もいたが、そこに達する前にどちらのバブルも終わってしまった。
有名な法律事務所ビルとフォーシーズンズ ホテルが、パロアルトに限りなく近いイーストパロアルト側に建てられたが、これも地価に大きな影響を与えることはなかったようだ。
 イーストパロアルトのようにバブルにも取り残され、バブル後はいっそうの痛手を受けている地域が、シリコンバレーには他にもいるつかある。
この明暗は「シリコンバレーの二都物語」と呼ばれているほどだ。
経済と産業と社会と心理の複雑な分断のメカニズムが、シリコンバレーの「二都物語」確かに存在している。
2007.4.5「教養があるお金持ち」のためのセレブ系sNS やっぱりこういうものが出てくるか。
 そう思ったのは、asmallworld.comについて知ったときである。
このサイトは、いわゆるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サイト) なのだが、大人気のマイスペースやフェースブックと異なるのは、できるだけ知り合いを自分のネットワークに招かない (というか招けない) 点、である。
 英語で「smaEwor-d」といえば、「世の中、本当に狭いですねえ」という意味だが、このサイトは文字通り「狭い」もので、「エクスクルーシブ (排他的)」な選ばれたお仲間だけのネットワークをつくることを目的としている。
しかもそのネットワークはセレブ系で、教養も高-、お金もあり、世界中を旅しているジェットセットというイメージだ。
 このサイ-ができたのは二〇〇四年のことだが、今や数十万人のメンバーがいるらしく、その知名度も上がってきた。
創設したのは'北欧の外交官の息子で、ワシントンで長-暮らした男性。
そう聞いて、例のごと-1八、1九歳あたりの若者がちょっとつくつてみた第3章 措かれざる格差ら人気になっちゃったというケースなのかと思ったら、何のことはない。
この男性は五十代後半。
確信犯的なセレブ・ビジネスとして設立したサイトである。
 その創設者、エリック・バッハトマイスター氏の語るところを総合すると、asmallworld.comにおけるネットワークはすでに現実の世界での知-合いが加わるもの。
知らない人々をどんどん自分のネットワークに加える通常のsNs的アプローチではなく、現実の世界ですでに知っている仲間が、インターネットを利用してお互いを助け合おうというのがその意図らしい。
 その「助け合う」というのが、ここではまたユニークである。
たとえば香港の質のいいテーラーを教えてほしいとか、プライベート・ヘリコプター会社の連絡先をすぐ知-たいとか、いいキューバ・シガーはどこで買えるかとか、美術館の寄付会ディナーに行けなくなったから、誰かそのチケットを買ってくれないかといったような内容。
咳き込みそうなありさまで、フォーマルにドレスアップした女性やブラックタイの男性、あるいは広い草原で狩猟をする男性などの姿なのだそうである。
 サイバー世界がどんどん現実の世界に似てきたという気持ちがして仕方がないが、これなどその顕著な例である。
通常のsNsのように開放的で集合的なダイナミクスの面白さを楽しむというよりは、現実世界の仲間意識をそのまま移行し、それを強化するような働「教養があるお金持ち」のためのセレブ系SNSきをする。
案の定、このサイトに対してはインターネットの元祖sNs派から批判的な意見が聞かれる。
asmallworld.comでは、ラグジュアリー・グッズや豪華旅行などの広告収入がけっこうあるという。
 サイトをエクスクルーシブに保つのにはどうするのか。
サイト自体の意図はともかく、そのあたりの彼らの工夫は参考になるかもしれない。
 まず、五人以上の紹介者がないとネットワークに加われない。
最初は一人だったらしいが、無資格者を厳しく排除してエクスクルーシブさを高めるために、一人から三人に、そして今や五人の紹介者が必要になったという。
そしてサイトのメンバーを相手とした売-込み行為ができないように、投稿の文字数を制限する。
「成り金的な上昇志向の人間を外すのが目的」なのだそう。
そして、ルールに違反した行動は、他のメンバーがクリックひとつでサイトに報告できるという。
 ターゲット・ビジネスとしてはかなく確率のいい商売が成り立ちそうだが、こんなサイトが増えれば、インターネットがその新鮮な特質をなくしているような、ちょっと複雑な気分である。
2007.4.19第3章 描かれざる格差「目指すはノーベル賞-」の教育ママたち シリコンバレーには十数の公立学校区がある。
どの地域の学校の成績がいいのかについて、コンスタントに情報を提供しているのは、実は不動産会社である。
子連れで引っ越している家族に対して、どの地域で家を買えばいいかだけでなく、学校区の成績を比べれば「ここがお得」といったアドバイスを与えるためである。
 小学校の成績でいえば、 パロアルトはスタンフォード大学のお膝元で、教授陣や研究者たちの子弟がたりさん住んでいるところだ。
 ある不動産会社の調べによると、ApIの高いところは住宅価格も高い。
恵まれた家庭で高い住宅でも買えるから成績もよりなるのか、それともいい学校区を目指して人が集中するので住宅価格が上昇するのか、そのあたりは鶏か卵かと同じくらい見分けがむつかしい。
だが、いずれにしても、ここに引っ越している家族は、同じ価格の住宅ならば少しで「目指すはノーベル覚りの教育ママたちも成績のいいところへ、成績が同じなら住宅の安いところへ、と条件を見比べるのである。
 最近の傾向は、公立学校での白人生徒率が減ったことである。
なんでも三分の一にまで減ったところがあるというが、その原因はアジア人生徒の増加である。
シリコンバレー企業に雇われるアジア人増加を反映して、学校でもアジア人比率が高まっているわけだが、白人生徒の減少の理由はそれだけではない。

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